皆さんはマラソン練習の際に、走るペースを決めていますか?それとも、なんとなく自分の気持ちよく走れるペースで走りますか?あるいは全力で息を切らせて限界ペースで走っているでしょうか?実際のところ、どうやってペースを決めたらよいのかわからないランナーの皆さんも多いのではないでしょうか。今回は、そんなランナーに向けて練習メニューごとのペース設定の仕方を説明していきたいと思います。
VDOTって何?
『VDOT』とは1分間当たりの最大酸素摂取量(VO2Max)のことを示しており、ジャック・ダニエルズさんが提唱しているものです。自分のフルマラソンやハーフ、10kmあるいは5kmでも構いませんが、ベストタイムから計算し、最大酸素摂取量を算出します。そこから練習メニューごとのペース設定を試算しています。これらの計算はVDOTのアプリで簡単に計算することが出来ます。できればフルマラソンのタイムが良いのですが、初心者の方でまだタイムを計ったことがない方は5kmでもよいので全力で走ってみてタイムを記録してみてください。
VDOTを使う目的
- 自己流の練習でも適切なペース設定ができる。
- オーバーペースでの練習がなくなるため、怪我予防に繋がる。
- サブ4など、目標ペースで計算した数値を知ることで、目標に対して自分がどの位置にいるのか現状把握ができる。
VDOTを計算してみよう
ここではVDOTのアプリを使用して、フルマラソンを4時間で走るランナーのVDOTを例にしてみていきたいと思います。
計算式と同等
まずは『計算式』の距離の項目でマラソンを選択します。次に時間を4:00:00と入力し、計算ボタンを押します。すると、右上にVDOTの数値が表示され、ペースも算出されます(さらに詳細な条件が分かる方は、温度や高度を入力することでより正確な計算ができます)。今回の場合はVDOTが『37.9』となりました。 次に、『同等』のシートを見ると、VDOTが『37.9』のランナーがハーフや10kmなどの距離をどのくらいのタイムで走れるのかが試算されています。この数値はあくまでも目安ですが、大体、近いタイムで走れているのではないでしょうか。ただし、ランナーには「スピード型」と「スタミナ型」の2種類がありますので、一概にはいえません。自分がスピード型かスタミナ型かの判断はハーフマラソンの自己ベストに、スタミナ型とスピード型の係数(下記の表を参照)をかけて、フルマラソンのタイムに近いほうがあなたのタイプになります。自分で計算するのが面倒な場合はGoogle先生で検索をかけて計算してもらいましょう。
練習ペースの見方
ここでは練習ペースの見方を確認していきましょう。ざっくりとした定義として、以下のように練習メニューが分かれています。これを参考にして、自分がどの練習をするときでも適切な練習ペースが分かるようになります。例えば、『イージー』を見ると1kmを6:19~6:56/kmとなります。JOGをする際にはこのペースを目標にして走ってみてください。
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- イージー:JOGペース
- マラソン:フルマラソンのペース
- 閾値 :ステージランやテンポラン、クルーズインターバル(断続走)のペース
- インターバルペース:インターバルトレーニングのペース
- レペティション:ペースレペティション、ストライドのペース
- 高速レペティション:800mのレースペースでのレペティション
まとめ
VDOTを使うことで、自分のレベルにあった適切なペースで練習することができるようになります。また、正しい練習をすることで効果的に走力を上げることができます。私が最も良いと感じているのは『オーバーペースでの練習をしなくなる』という点です。自分のレベルにあっていないスピードで練習をしても怪我のリスクが高くなるだけです。怪我をしてしまうと練習を休むことになり、結果的に走力が下がることに繋がります。常に練習を見てくれるコーチがいる方は別ですが、そうでない方にとっては、VDOTがコーチの代わりになることでしょう。また、別の使い方として目標タイムを入力することで、ハーフマラソンや10kmなどのレースの目標タイムが明確になります。マラソンを走る前に実際にハーフ等を走ることで自分がどこまで目標に近づいているかの確認にも利用することができます。その結果から大会本番の目標タイムを改めてしてみるのも良いでしょう。VDOTは無料のアプリが多くありますので、まずはダウンロードして試しに使ってみてはいかがでしょうか。