ダイエットの定番といえば有酸素運動ですよね。有酸素運動といえばランニングが思いつくのではないでしょうか。『でも、ランニングってきつくて続かないんだよね…』、そんなあなたにおススメしたいのが、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)という練習方法です。これは「長時間」「長い距離」を「ゆっくりしたペース」でを走るという、マラソン練習の定番です。マラソンランナーにとってはパフォーマンスを上げる事を目的として行いますが、ダイエットをしている方に向けては痩せるためにとても効果的な練習となります。今回は主にダイエットを目的とした方に向けてLSDについて紹介していきたいと思います。
ゆっくりだから脂肪は燃える
まず太っているという事は単純に体重が重いという事だけではなく、余分な脂肪が体についているという状態です。痩せるためにはその余分な体脂肪を燃やし、カラダを引き締めていく必要があります。速いスピードで走った方が脂肪が燃えるんじゃないの?と思われる方もいるかと思いますが、実はゆっくり走った方が体脂肪は燃えやすいのです。ランニングに限らず基本的に運動をするときのエネルギー源は『糖』と『脂質』です。これらが筋肉でエネルギーとして同時に使われるのですが、運動強度が高いときは『糖』の利用率が高くなり、低くなるほど『脂質』の利用効率が高くなります。これは脂質を使うためには『酸素』が必要なのですが、運動強度が上がると息がきれる状態となり、必要な酸素が筋肉に届かなくなり結果的に、脂質は使われにくくなります。そのため、ゆっくりとしたペースで長く走ることで脂肪が燃えやすくなるのです。
ウォーキングじゃだめなの?
運動強度が低い方が脂肪を優先的に利用するなら『ウォーキング』でもいいんじゃないの?そんな疑問もでてくると思います。確かにウォーキングも運動強度が低く脂質の『利用率』は高いのですが、『使用量』が少ないのです。例えば、デスクワークや座ってスマホと使用しているような状態(安静時)ではエネルギーの9割を脂質で補っているといわれています。でも、この状態を長時間続けても痩せることはないですよね?これは脂質の『使用量』が少ないためです。ウォーキングの場合の脂質の利用率はの7~8割、ランニングでは5~6割と『利用率』は下がります。しかし、この時の『使用量』を安静時と比べると、ウォーキングは4倍、ランニングでは7倍となります(ランニングとウォーキングでは約1.8倍の差があります)。そのため、同じ時間運動するなら、ウォーキングよりもランニングの方がより脂肪が燃えることになります。どうしてもウォーキングが良いという方はその分、歩く時間を延ばすことで対応できますが、忙しくて時間のない方が多く、結果的に続かないという事が容易に想像できるため、私はLSDをおススメします。
長期的には体質改善の効果あり
LSDをおススメするもう1つの理由として、長い目でみたときに体質改善の効果もあるからです。運動する際のエネルギーは『糖』と『脂質』です。糖はグリコーゲンとして、脂質は体脂肪として貯蔵されています。2つの貯蔵量を比較すると圧倒的にグリコーゲンの方が少ないのです。そのため、マラソン等でエネルギー補給が上手くいかないと、糖が枯渇し後半に失速するという事が起きます。LSDをすることで毛細血管が増え、筋肉に酸素を供給する能力がUPします(脂質を利用しやすくなります)。また、ミトコンドリアの数が増えたり、能力がUPしたりします(ミトコンドリアは筋肉に存在し、糖と脂質をエネルギーに変える働きがあります)。この2つの能力がUPすることでより脂質代謝の能力が上がり、脂質が燃えやすい体質になっていきます。
LSDのやり方は?
さて、そろそろLSDをやりたくなってきたのではないでしょうか。ここからは具体的なLSDのやり方について説明をしていきたいと思います。
大事なのはニコニコペース!
ダイエット目的の方はランニング専用の時計など持っていないと思いますので『ゆっくり走る』ってどんなペースなの?というのが一番の悩みになるのではないでしょうか。でも実はとっても簡単で『ニコニコペース』で走れば良いのです。ここで言うニコニコペースとは『1~2分は話続けられるようなペース』のことを言います。これは人によって個人差があるので、あなたが笑顔で独り言を1~2分、言い続けられるペースと捉えていただければ構いません。
時間を目安にしよう!
次に、長く走るって何km走ればいいの?長く走れと言われれば距離をイメージするかもしれませんが、LSDの場合は距離よりも時間を決めて走ることをおススメします。距離を目安にしてしまうと、早く終わらせたいという思いからペースが速くなり、結果的に脂肪が燃えていないなんてことになりかねません。そこで初心者は60分を目安にニコニコペースで走ってみましょう。「いやいや、いきなり60分走るなんて無理でしょ!」そんなあなたは20分×3回、15分×4回でも良いです。むしろ細切れで練習した方が痩せやすいのです。そのため初心者でも無理なく行うことができます。
LSDの効果を上げるポイント
ここで、より効果を上げるためのポイントを説明します。どうせやるなら最大限の効果を得たいと思いませんか?そんなあなたは、次の2つを試してみてください。1つ目は『腹ペコで走る』です。空腹の状態ではグリコーゲンとして貯蔵されている糖質が使われます。その糖質が減ると脂質の代謝を高めるスイッチが入り、脂質が使われやすい状態となります。早朝ランが最もよく、朝が苦手は方は夕方~夜でもよいです。2つ目は『走る直前に刺激を入れる』です。5分程度の全力走や坂道ダッシュを4~5本することで糖質が代謝され、乳酸が溜まります。乳酸が溜まったことが刺激となりホルモンが分泌されます。これらのホルモンは脂肪を分解する働きがあり、LSDを行った際により脂肪を分解しやすくなります。
本当の初心者向けの4段階プログラム
ここまででLSDの効果とやり方は理解していただけたのではないでしょうか。しかし本当の初心者の方はいきなり走るのはハードルが高いのではないでしょうか。そんな方に向けて4段階のプログラムを紹介します。
まずは歩く
全く運動習慣のない方はまずは運動することを習慣化させましょう。週に3~4回のウォーキングから始めてみましょう。1回20分~30分で構いません。習慣化することで次のステップに繋がります。2週間ほど続けられれば次のステップに移っても良いでしょう。
ウォーキング+ラン
歩くことが習慣化できたら、次は少しだけ走ってみましょう。ウォーキング+ランで30分ほどから始めてみましょう。徐々にランの比率を増やしていき、30分歩かずに走り続けられればOKです。
走る時間を伸ばす
30分のランができるようになったら、徐々に時間を延ばしていきましょう。40分、50分、60分と徐々に延ばすことを目標としましょう。この時も一度に40分でなくても構いません。20分×2回など分けて行うことも効果ありです。また、60分のLSDは週に1回程度でOKです。週末などの休日にやりましょう。
60分LSD+刺激入れ
ここまで来たあなたは、すでに体の変化を感じているのではないでしょうか。ここからは60分LSDの頻度を増やして週2~3回行っていきましょう。平日は朝30分+夜30分、週末は朝60分など自分ができる組み合わせを見つけていきましょう。また、この時に先ほど紹介した『刺激入れ』にも挑戦してみましょう。走る前に息が切れるようなスピードで5分ほど走る、という事で十分です。これにより更に脂肪燃焼効果を高めることが出来ます。
まとめ
LSDはダイエットを目標に体重を減らして体型を変えたい方にとって効果的な方法です。また、この練習をきっかけに運動習慣ができ、走るようになると自然とランニングの楽しさにも気づくのではないでしょうか。そんな気持ちになったあなたはダイエットだけでなく、ランを楽しむことに目標が変わってくるはずです。その時はこのブログで様々な練習方法をご紹介していますので、そちらも参考にしていただければと思います。私もダイエット目的で走り始めて、ランニングに目覚めた1人です。練習をするごとに長距離を走れるようになり、スピードも速くなる。そして自分のカラダが変化していくことに達成感を感じていきました。このブログをきっかけに、皆さんにもそのような体験をしていただけると幸いです。